top of page

インドネシアにおける会社設立の難しさについて



インドネシア市場は、消費市場として非常に魅力的ですが、その実態は簡単に参入できるものではありません。最近、安易にインドネシアにおける会社設立をサポートするサービスが目立ちますが、これは、現在のインドネシアの投資調整庁の外国投資に対する積極的な姿勢や監視が緩いことに起因しています。しかし、外資法人に関して資本金要件を満たしていない場合(さらには斡旋を行った場合)、実際当局により摘発されたケースも報告されています。さらに、このような当局の姿勢は、ある日突然に変更される(インドネシアではよくありますが)ので、法的要件を満たしていない場合、今日まで大丈夫でも明日は分からないという不安を抱えることになります。特に、10月の新大統領就任や11月首長選挙がある今年来年(各首長就任)は、注意が必要です。


また、内資法人であっても、現地法人が日本人(外国人)にビザ(KITAS)を発給するためには、10億ルピア(約1000万円@0.01)以上の資本金が必要なことはあまり知られていません。さらに、ノミニースキーム(インドネシア人の名義貸し)で、内資法人を設立しても、インドネシアの投資法上、名義貸しによる法人設立においてノミニーとの契約は無効となっているため、ノミニーによる会社乗っ取りが起こっても裁判で勝つのは困難とされています。また、ノミニーに対する報酬も今後金額を釣り上げられたりするケースもあります。(参考:「インドネシア・ビジネス法務ガイド」、井上諒一(編著)、中央経済社、2022年)


ノミニーについては、本人がよく知っている運転手や水商売の女性にするケースも実際良く聞く話です。彼らが純粋に善意でノミニーになったとしても、多くは貧しい家庭の出身だったりするため、将来的にどうなるか確実なことは誰にも分からないものです。さらには、インドネシア人と結婚して、配偶者やその家族をノミニーにするケースも非常に多いですが、最終的には、夫婦仲が悪くなったため、立ちいかなくなるというのも意外に多いのです。


さて、その後、会社を自社で設立できても、そのあとのオペレーションもやっていかなくてはならないということを、当然のことながら理解しておく必要があります。従業員には給与や社会保険料など労務管理だけでなく、期待する成果を挙げているかをみる人事管理が発生しますし、会計はもちろん利益が上がれば納税も必要になってきます。これらは、きちんと法律に則ってやらないと、突然監督省庁から訴えられることも事実あります。例えば、社会保険(BPJS)に入っていなかったため、裁判所に出頭を命じられたケースも過去にありました。さらに、会社設立や運営に関してのインドネシア政府の方針も頻繁に変わるので、これまで良かったやり方が、今後通用しなくなるというリスクも常に孕んでいます。



そして、本業の事業についても、例えば、物を流通させ、販売するというのも一朝一夕にはできません。つまり、しっかりとした流通網・販売網を確立しなくてはならないのです。特にこれに関しては、インドネシアで成功している日本の大手企業は、現地パートナーと組んで事業を展開しています。例えば、日系自動車メーカー2社(四輪、二輪)は競合でありながら、同じグループと手を組んで、シェアトップ(カテゴリーは異なる)を獲得し続けるなど、これまで成功を収めています。一方で、日本の商社と自社のみで現地展開を試みた大手企業の中には、苦戦している例も見受けられます。


また、パートナーシップの継続もまた難しい課題です。成功していたかに見えた大手コンビニチェーンも、パートナーとの関係が破綻したため、最終的には撤退を余儀なくされました。このように、インドネシア市場では参入だけでなく、事業の継続も容易ではないことは、あまり知られていないのではないでしょうか。



さて、このような成功の鍵とも言える現地パートナーを見つけることは重要なのですが、一方で焦らずじっくりと取り組むことも重要です。焦って足元を見られてしまえば、うまくいく交渉も暗礁に乗りかねません。もちろん、時期をただ待つだけではもったいないと感じる方もいるでしょう。そこで、弊社では、焦らず自社に合ったパートナーを探しながら、オペレーションを開始し、売上やノウハウを獲得していく(のちにパートナー候補との交渉に有利に働く)サポートを提供しています。このサービスを通じて、最適なパートナーと協力する準備を整えながらも、事業を前進させることが可能です。ご興味がございましたら、お気軽にご相談ください。

bottom of page